叶わない。
冗談を言えるような状況でもなかった。
お酒を抜くためとはいえ、正直な所下心があった。

『好きって友達としてでしょ?』

『違うよ。』

と言いながら、タッチパネルの照明を落としていく。
その間に僕は布団に潜りなにもないことを願った。
なにかごそごそとしたあと布団に入ってくるひなさん。
背中に当たる人肌。

『ちょ!なにしてるの!ひなさんだめだよ!』

『ごめんね。ダメなのはわかってる。分かってるんだけど、よしきの事好きになりすぎた。よしきは嫌?』

僕は、子供っぽいひなさんの性格。
でもどこか大人びな女性の魅力。
素直に引かれていた。

『俺でいいの?』

その一言で、ひなさんはコクンっとうなずき、唇と唇を重ねた。

< 9 / 16 >

この作品をシェア

pagetop