先生、恋ってなんですか?

むむむ、これでもパジャマからスウェットと言う名の部屋着(世間のカワイイ女子ならルームウェアとでも言うのかもしれないけど)に着替えて甲斐甲斐しくお腹を空かせてるだろう先生のためにご飯を作っていたというのに。

「うぅ、だって来るのは先生一人じゃんか」

呟いた声の返答は本日二度目の舌打ちで、さすがの私もへこむわけだ。
なんていうか、まぁ確かに。
たまの休日に出掛けもせず彼氏でもない男のためにスウェット(しかも灰色)でご飯をいそいそ作りほのぼのしてるってのは……私はどこに向かいたいのか、てとこだ。

「まぁ。そう悲観すんな。女子が言うんならそー言うのが女子力ってもんなのかもしれん。……が、ひけらかすヤローがいなけりゃそりゃ宝の持ち腐れってもんだぞ」

追い打ちの言葉でHPゼロ。完全に打ち砕かれちゃいました。

「せんせーなんて禿げればいいんだ……!」

小学生並みの文句を吐き出して顔を上げるとコメカミがひきつってそうな黒い笑顔をした先生の顔とご対面。
なんとなく危険を察知して、食べ終えていた食器をざっと拐って流しへ逃げる。
背中に無言の圧力を感じたまま洗い物を終えると、振り返らないわけにはいかない。
ここは必殺・何もなかったフリでいこう。



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