先生、恋ってなんですか?

けれど。
素直じゃない言葉の代わりに、とても素直に涙が溢れる。

「わかんないよ。誰と居ても同じだった。楽しいけど楽しくない。先生だったらこんな風かな、て思ってしまって。気がついたら先生のこと考えてて、気がついたら会いたいなって思ってて……」
「そんで?まだわかんないの?」
「食事食べてても作り方考えて、作ったら先生に食べてもらいたくて」

先生の手が伸びて、私の手を取る。
さっき感じた温もりが、甦る。
そしてそのまま、繋がれた手をグッと引かれた。
よろけてその胸に手をついてもたれ掛かる。
微かに伝わる先生の鼓動が速い。

「わかんないよ、先生。気がついたら先生のことを考えてる」

ぎゅっと抱き締められている。
先生の温もりに包まれる。

「……わかんない?俺には壮大な愛の告白に聞こえるんだけど」

耳のすぐ横で聞こえる先生の声に、胸が震える。
言っても良いの?
伝えてしまっても、私は先生の傍にいられる?

「俺はいつまで我慢すればいい?」

耳にわずかに触れる唇が、吐息が。
すべての思考を奪っていく。
言って良いとか、悪いとかじゃなくて。
言わなくちゃ。
本当は、気づいていた、その気持ちを。





「先生……、これが、恋、ですか」
「良くできました」

言葉と一緒に唇が降ってくる。
一瞬離されたその隙に、先生が、好きだ、と呟くから、ぎゅっと心臓をを鷲掴みにされたみたいに胸が苦しくなる。
こんなにも甘くて苦しい痛みがあるのかと、思い知る。
自分で自分に嫉妬していただなんて。
とんでもない醜態をさらしてしまったことに穴があったら入りたくなってしまうけれど。
好きだ、その言葉ひとつで先生の思う通りに泳がされて、結局いつものように良いようにされてしまう。
先生はやっぱり、確信犯だ。



再び唇が触れあう間際に、そんなことを考えた――――……。







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