恋はまるで、粉雪のようで。
やっぱり、さよなら
翌朝、けたたましく鳴る目覚まし時計を止めると、反射的にスマホを見てしまった。


昨日の夜から電源を切ったまま。


こんなに長い間、スマホをオフにしたのは初めてだ。



櫂くんは、少しは私を思い出してるかな。


あの女の子に気持ちが傾いているなら、二股かけるようなことはしないで、私とさっさと別れてほしかった。


自分から別れを切り出せばいいんだけど、決断力のかけらもない私には無理なわけで。



それにしても、櫂くんは、あんなに誠実な態度で私と接してくれていたのに。


二股かけるなんて思いもしなかった。


そんなの、ドラマや映画の中だけだと思ってた。


だって、二股かけるってことは、それぞれに魅力がある人でどっちも選べないからなんだろうし。


日曜みかけた女の子は、私よりも数倍かわいくて、若い。


櫂くんの隣にいるべきなのは、櫂くんの隣に似合うのは、私じゃなくて彼女だ。


そんなことを、日曜から何度考えただろう。


何か別のことに集中していないと、意識していなくても櫂くんのことを考えてしまう。





今日は、部長に内示を受けることを伝えるために、早目に家を出ようと思っていた。


これでいいんだ、私は仕事に生きるんだ。


本当にもう、男はこりごりだ。




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