恋はまるで、粉雪のようで。
変な出会い
二次会の誘いを丁重に断り、一歩外へ出ると北風が冷たくて酔いが覚めた。


このまま帰ってもいいけれど、なにか物足りない気分。


会社から歩いていける店だったから、とりあえず最寄り駅に向かい、地下鉄に乗って自宅近くのいつものカフェへ行くことにした。


カフェっていっても、どこにでもあるチェーン店だ。


料理もコーヒーもアルコールも充実していて、長居しても嫌な顔されないから、数年前から通うようになった。


基本、休み前の月曜日にほぼ毎週通い、嫌なことがあった日や、リセットしたい時に行ったりもしてる。



注文したコーヒーを受け取り、明るい木目のカウンターに座る。


読みかけの文庫本を取り出し、コーヒーを飲みつつ読み始めた。


30分くらいたった頃、隣に誰かが座る気配がした。


少し離れた席もあいているのに、と思ったけど、『そこに座らないでください』と言う権利があるわけもないし、気にしないことにした。


もうすぐクライマックスだ、どうなるんだろう?と、読んでいたミステリーにのめりこみすぎたのか、少し残っていたコーヒーをこぼしてしまった。


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