半分のキモチ
「え~明後日は卒業式だ。旅行に行って風邪で休んだなんてシャレにならいから、十分気をつけるように。じゃあ、解散」


楽しかった最後のみんなとの思い出。
卒業旅行も終わった。
後はもう卒業しか残っていない。


それぞれが……
それぞれの思い出を胸に帰路へ向かう。


自分の気持ちにケジメをつけたいと、かっちゃんからの告白。
かっちゃんがどれだけ私を想っていたかは分かっていた。
辛い時は素直に泣かせてくれて、笑顔をくれた。


そんなかっちゃんの気持ちに私だって答えたいと思ったことだってあったけど、それでもかっちゃんの気持ちは答えてあげれることは出来なかった。


泣きながらかっちゃんへ感謝の言葉を言う私に「宮本はバカだよ。俺を選ばないなんて」と切なそうに笑っていた。
何時も泣いていた時に、私の頭を撫でてくれたかっちゃんの優しい手はもうない。
それを選んだのは私……


私が望んだのは、泣いた時に撫でてくれる優しい手じゃなかった。
私が望んだのは、決して触れることが出来ない手だった。


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