ソルト
二人の会話の邪魔にならないようにこっそり帰ろうとすると
「あっ、えっと…ナントカちゃん」
「…橘花だって言っただろ」
「そうそう!橘花ちゃん!」
と、呼び止められてしまった。
「…はい」
「やだ、ひとつしか変わらないんだから、そんな緊張しなくていいよ。かずくんから話は聞いてるよ」
「そう、ですか」
「…ほら、俺行くから」
屈託のない笑顔を向けられて困っていると和樹が気を利かせてくれた。
「じゃあ私も途中まで一緒に行く!」
「んじゃあな、橘花」
「うん、バイバイ」
楽しそうに会話する二人の声を背中で受け止めながら校門へ向かう。
ふっと見上げた空は淡い珊瑚色だった。