俺様上司は溺愛体質!?
(な、なぜ、そこまで言われなければ……?)

 曲がりなりにも下着メーカーに勤めていて、もちろんサイズは手順を踏み、きちんと計った上で購入している。素人にどうこう言われる筋合いはないのである。

「やる気が削がれた」

 男はそう言い、ベッドから離れる。
 声の調子で近かった二人の距離が遠くなるのがわかった。

(ええ!?)

「ちょ、ちょっと、あの、待ってっ……」

 待ってもらったところで何をしたいのか自分でもよくわからなかったが、言われっぱなしは癪にさわる。

 幸い手首を縛っていた布はハンカチらしく、少し動かせばするりと解けた。
 上半身を起こし、今度は目を覆っていた布を外そうとするがうまく解けない。
 そこで男が再度近づいてきて頭の後ろに手をまわす。
 結び目を解く指先の気配は乱暴でもなく実に落ち着いていた。
(大きな手……。)
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