俺様上司は溺愛体質!?
(えっと今日の下着……変じゃない、よね……? 普通に自社ラインの……セットのやつ……。くたびれてもないやつ……だったよね……たぶん。)

 ここ数年、ずっと彼氏はいない。
 もちろん十年前の強烈な失恋の前にも後にも、おままごとのような恋愛はいくつか経験したのだが、ちとせにとって恋とはあの片思いだけだった。

 とはいえ、誰に見せるわけでなくても、下着メーカーに勤めている以上多少の気は使っている。

(そっか……まさかこんな形で処女喪失? そっか……そうかぁ……でもそれでもいいかも……後生大事に守ってたからって一体なんになるの……。)

 やけっぱちになっていたのかもしれない。
 どうにでもなれと腹をくくりかけた瞬間、唐突に頭上から声がした。

「最悪だ……サイズが合ってない」

 地の底から響くような低い男の声だった。

「アンダー70のDカップ……最低だ。適当にデザインと見た目の数字だけで選んでいるからこうなる」

 しかもなぜか憤慨しているようだ。


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