俺様上司は溺愛体質!?

 そこで背後から、凛と通る低い声が響いた。

「付け入る隙などない」
「……!?」

 ビクンと体が震えた。

(え、うそ、なんで……?)

 ゆっくり振り返ると、二メートルほど背後に恐ろしく不機嫌そうな真屋時臣が立っていた。

 休日らしく髪は洗いざらしで、眼鏡もカジュアル仕様。濃いグレーのパンツに半袖のシャツ姿である。
 どこから走ってきたのか、ゼエゼエと肩で息をしている。

「あの、真屋さん?」

 これは夢なのだろうか。
 だが目の前の真屋時臣は、ちとせに目もくれず伊東を見据えた。

「伊東」
「はっ、はい」
「全面的に俺が悪かった。すまん」
「……わかりました」

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