俺様上司は溺愛体質!?
(少なくともタエちゃんに頑張ってるよって言えるくらい頑張らないと。)
ダンボールの箱を抱え、意気揚々とエレベーターへ乗り込むと、
「すいませーん、ボクも乗りまーす!」
軽やかな声が背後から聞こえてきた。
振り返れば、砂糖菓子で出来たポメラニアンのような美少年がこっちに向かって走ってくるのが見える。
(あのキラキラした人はまさか伝説の……!!!)
抱えていたダンボールを床に下ろし、慌ててエレベーターの開くボタンを押した。
「ありがとう、ごめんねぇ……はぁ、走ったから疲れちゃったよ」
彼はスーツのポケットからハンカチを取り出し、こめかみの汗を押さえる。
確かにヒールを履いたちとせよりわずかに背が高い彼は、華奢である。ダンボールを抱えて走るのは重労働だったに違いない。
「あの……エリアマネージャーの阿部さん、ですよね?」