俺様上司は溺愛体質!?
 憤慨しつつ、ニコニコシュガースマイルの潤から真顔の真屋時臣に視線を向けたが、彼は切れ長の瞳を細め、毅然とした様子でダンボールの中に手を入れた。

「これはもうここにある現品しかない、今じゃどこも作っていない商品だ。お前に破られたりしたら困る」

 どうやら貴重なものらしい。
 そう言われると「絶対に破りません」とは言えなくなる。
 
「とりあえず手にとってみろ」

 真屋時臣はビニールからひらひらしたストッキングを取り出してみせた。

「わぁ……」

 ちとせの口から思わず感嘆の声が漏れる。

 その美しさに一瞬で怒りも忘れてしまった。


 目の前でひらめいたストッキングは、ちとせの知っているどんなストッキングとも違った。

 向こうが透けて見えるほど薄いのに微妙な光沢があり、しかもふくらはぎやスネに沿うように曲線がかっているのだ。
 手に取るとまた羽根のように軽い。
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