俺様上司は溺愛体質!?

「お疲れ様です」

 営業部に入ると、中では二十人くらいの人間が忙しそうにフロアを歩き回っていた。
 事務スペースを見ると、待っていたらしい細布子が手を振る。

「お疲れ様。はいこれ資料ね」
「これ全部?」

 足元には台車があり、その上に大きな段ボールが載せられていた。

「過去のパンフレットとかカタログも入ってるからね、重いのよ」
「そっか……。これは中身見るだけでなかなか骨が折れそうだなぁ」

 だがとにかく今は自分と潤しかいないのだ。
 泣き言を言っている暇はない。

 念のためしゃがみこんで中身を確認すると1960年代の古いものもあるようだ。

「ありがとう、じゃあ持って行くね」

 台車に手をかけ営業部を出て行くちとせ。
 すると即座に背後から、
「萩原さん、手伝おうか」
 と、声をかけられた。
< 61 / 275 >

この作品をシェア

pagetop