俺様上司は溺愛体質!?
「お疲れ様です」
営業部に入ると、中では二十人くらいの人間が忙しそうにフロアを歩き回っていた。
事務スペースを見ると、待っていたらしい細布子が手を振る。
「お疲れ様。はいこれ資料ね」
「これ全部?」
足元には台車があり、その上に大きな段ボールが載せられていた。
「過去のパンフレットとかカタログも入ってるからね、重いのよ」
「そっか……。これは中身見るだけでなかなか骨が折れそうだなぁ」
だがとにかく今は自分と潤しかいないのだ。
泣き言を言っている暇はない。
念のためしゃがみこんで中身を確認すると1960年代の古いものもあるようだ。
「ありがとう、じゃあ持って行くね」
台車に手をかけ営業部を出て行くちとせ。
すると即座に背後から、
「萩原さん、手伝おうか」
と、声をかけられた。