俺様上司は溺愛体質!?

(だから私は私の仕事をする。平凡だけど、凡人だけど、きっと何かが出来るはずだ。)

 ウムムと眉根を寄せながらプレズィール本社を出る。ちとせは真屋時臣に市場調査を命じられていた。


 もちろんプレズィールにはマーケティング部が存在する。
「誰に」「なにを」売るのか。
 そんな情報の収集と分析の結果は真屋時臣の頭に完全に入っているだろう。
 それでも『妖精の羽根』を売るために、昔とは違う何かが必要なのだ。

(だから、私ならではの何かを見つけられたらいいんだけど。それってなんだろう……。でもどうしたらいいですかなんて、真屋さんに聞くのはおかしいよね。こうするべきだって答えがあるなら、最初から最短の道を選び取るはずだ。だから彼が私に求めるのはそういうんじゃないはずだ。多分……きっと。)

 自分だからこそ出来ることがあると、信じるしかない。




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