俺様上司は溺愛体質!?

「ん?」

 振り返ると同時にガシャンと大きな音がして、それから膝に大量の液体が降りかかった。

「ひゃあっ!」

 驚いて立ち上がるちとせ。

「もっ、申し訳ございません、お客さま!!」

 ウェイターが真っ青になって深々と頭を下げ、厨房からも人が飛び出してくる。
 ウェイターが粗相をして運んでいたトレイをひっくり返してしまったらしい。

「火傷はなさっていませんか!?」
「大丈夫です。熱くなかったから」

 コーヒーは冷めていたので火傷の心配はなさそうだった。
 しかしウェイターは平身低頭の平謝りである。確かにスカートの前面はコーヒーの大きなシミが広がって大変な有様だ。

 そこへ店の責任者らしい女性が小走りで駆け寄ってきた。
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