俺様上司は溺愛体質!?

「お客さま、この度は大変申し訳ございません。オーナーの檜山(ひやま)と申します。お詫びは改めてさせていただきますが、まずお着替えが必要だと思いますので、こちらに来ていただけますか?」

 なんだか大ごとになってしまったと思うちとせだが、確かにこのままでは帰れない。
 オーナーだと名乗る檜山に再三促されて席を立った。



『staff only』とプレートがついたドアの向こうは案外広かった。
 L字に曲がった先には二階へと続く螺旋階段があり、そこを登るとワークデスクと写真集が収められた本棚が壁を埋める書斎兼応接間である。

「こちらにお座りください」
「はい……お邪魔します」

 革張りのソファーに腰を下ろし荷物を足元に置くと、檜山が下からやってきたスタッフからトレイを受け取り、ちとせの前にミルクティーを置く。
 
「ありがとうございます」
「まず濡れたお身体を拭いていただけますか。新しいストッキングとスカートはこちらですぐに用意いたします」

 おしぼりがいくつかテーブルの上に置かれた。
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