小話置き場
「ちょ、なんで泣くの」
「うあああん、なんで先輩そんなにカッコいいんですかあああ」
「……は?」
「私の目がそろそろ焼き焦げるんでそんなに輝やかないで下さいよおおお」
「……や、意味わかんないんだけど……とりあえずあっち行こうか……」
歩道の真ん中で泣き始めた私の手を引っ張って、先輩はあまり人のいない小さな公園へ入っていった。完全に保護者と子供の図である。
木陰のそばに立ち止まると、彼は私の前に膝をついた。
ひっくひっくとしゃっくりあげて泣く私を見上げて、困った顔をする。
「百合。さっきの、よく意味がわからなかったんだけど。もう少し詳しく教えて」
「……うっ、うう、せ、せんぱいがぁ」
「うん」
「すっ、好きすぎて、こわい」
恥ずかしいとか、何言ってんだ私はとか、ちょっと思ったけど、もうどうにでもなれという気分だった。
私の言葉に先輩が驚いた顔をして、それから顔を赤くした。なんともいえない可愛い表情をしたあと、また私を見つめ直す。