マネージャー日誌 ─青春の欠片

瑞生はいかにも野球部らしいジャージに着替え、かえでは家から持ってきたジャージに着替えた。

「じゃあ、大まかに何をやるか説明していくね。

まず、これは大前提として、なんだけど、移動はダッシュ。マネージャーだからしなくていいとかないんだ。

選手が走らないといけないならマネも走るんだよ。」

さっきあれだけダッシュしたのはそういう前提があったからか、と頷きつつかえでは小さなノートにメモをとった。

「その、ノートをとるのも大事。監督や選手からいろいろ言われるけど、忘れる前にサッとメモしておくといいよ。

あとこれも常識なんだけど、指示が出たら必ず返事をすること。よくわからない時は聞き返すこと。

分かった振りをして本当は出来ませんでしたっていうのが一番迷惑かかるからね」

「じゃあマネージャーの基本的な仕事の話をしていくね。

まずはさっきのジャグ作り。あれは来てすぐ、制服のままでやる事にしてる。

夏なんかは特に暑くて喉渇く人も多いから。あ、マネもあのスポドリ飲んでいいからね。ちゃんと水分補給してね」

ひとつひとつ、丁寧にかえではメモをとっていく。

「それが終わったら着替えて出欠チェックして、部室の掃除。このジャージ、入部したら杉本さんにも購入してもらうんだけど、届くまではお家のを持ってきてね。

出欠は誰が来てないか見るのと、怪我とか痛めてるところはないか聞いて表にチェックを付けていくの。体調の悪い選手とかがいたら把握しといた方がいいからね。

掃除は部室と、倉庫の掃除をするんだけど、砂掃き、窓拭き、あとはモノの整理整頓かな。その時に備品チェックもするの。絆創膏とか、テーピングとか、ファブリーズとか」

「その後は日によって違うんだけど、グラウンドに入ってお手伝いしたり、前日がウェイトトレーニングだったり、試合だった時はデータの整理するよ。これの詳しいことはその時になったら教えるね」

「暗くなってきたらナイターを付けるとか、怪我した人がでたら処置するとか、色々あるんだけど、今詳しく説明できるのはこれくらいかな」

かえでは目が回りそうだった。この仕事量を瑞生が1人でこなしていたのかと思うとリスペクトの気持ちしか湧いてこない。

と感動すると同時に不安にもなった。

こんなたくさんの仕事が自分に出来るだろうか、と思ったのだ。

「試合の日はスコア書いたり、接待したり色々他のこともするよ。遠征だとバスを借りるための電話はマネがやるし、保護者へのお手紙も作るの」

「合宿だとご飯のお手伝いしたり、洗濯掃除やらなんやらするの。お母さんみたいでしょ?」

と瑞生は可笑しそうにクスクス笑っているが、かえでは完全に引きつった笑いしか浮かべられなかった。

かえでは思っていたよりもずっと大変そうだな……と考えていた。

「生活態度とかは部則があるんだけど、校則厳守っていう感じだから、制服着崩したりしちゃダメだよ。

マネも野球部として見られるからね」

かえでは華のJKになることを密かに諦めた。
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