課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜
 雅喜は先に席に着いて食べながら、
「今度から、三上がかけてきたら、即行切れ。
 着信拒否だ」
と言い出す。

「いやいや」

 課長の大好きな釣りの誘いかもしれないじゃないですか、と思ったが、今はなにも言わない方がいい気がして、黙っていた。

「ああ、あの、全部やっていただいてすみません。
 でも、ほら、卵は焼けましたよー」
とさっきから作っていた目玉焼きを持っていくと、

「焦げてる」
と一言で切り捨てられる。

「よし。
 担当を変えよう。

 朝ご飯は誰が作るとかじゃなくて。

 卵を焼いたりするのが俺、パンを焼いたり、珈琲を……

 珈琲も不安だな。

 テーブルを拭いたり、コップを出したりするのがお前の仕事だ」
と言われる。

 ……それ、子供でもできることですよね、と思いながら、いただきます、と手を合わせた。




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