妬こうよ、そこはさ。【番外編】
「…………ごめん」


肩を強張らせて縮こまる。


確かに雰囲気も何もない、ものすごく呆気ないプロポーズだった。


『そろそろ籍入れないか』って何だよ。


なんで準備とか告白とか場所とか、そういう大切な諸々吹っ飛ばして「そろそろ」になるんだよ。


まずそっちだろ、俺……!


悶々と頭を抱える。


……やってしまった。


恋人があっさりプロポーズを望んでいたならともかく、ちゃんと考えて欲しかったらしいのに、この体たらく。

この大失態。


やってしまったよなこれはうん。


……愛想、尽かされるかな。


ど、どうしよう。


どうしたらいい。


……やり直しとか?


「えーっと……やり直しします?」

「ぷっ」


ついには気まずさで敬語になった俺に、彼女は思わずといったように噴き出した。


「やりな、おし……!」

「だ、駄目かな」


あのね、と込み上げる笑いにおなかを苦しそうに抱えながら。


「未来の旦那さん、私、それはもっと間が抜けていると思うの」


心底おかしそうに、くすりと微笑んだ彼女に。


俺はもう一度、ああ好きだなあ、と思った。


Fin.
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