妬こうよ、そこはさ。【番外編】
ほんの少し余地を作る。

ほんの少し相手に合わせる。

ただ、言葉は惜しまない。


初めに決めた約束。


お互いの性格も幸いしてか、喧嘩になったことがないので、多分俺たちの生活は俺たちなりに上手くいっていると思う。


「美味かった」

「ん」


やや物足りない感じがしたものの、美味しかった。


おそらく、だからこそ、これでもっと濃い味付けなら完璧なのに、と欲張ってしまうんだろう。


その後何度も煮物を食べたけど、相変わらずお互いがお互いの好みの味付けを続けてみていて、いい解決策は浮かばないままだった。


早く解決しないと、とか、何だか不穏な空気になっているかもしれない、とか、焦ってはいなかった。


どうしようかな、どうしようね、と困った雰囲気の方が強かった。


このままでもいいだろうけど、でも、やっぱりいいのかな。


お互いがお互いのそんな不安を何とはなしに感じていた。
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