妬こうよ、そこはさ。【番外編】
彼女が夜ご飯担当の、ある冬の日のこと。


「りんごでいい?」

「ありがとう」


うん、と頷く彼女がりんごを剥く隣で、食べ終わったばかりの食器を洗った。


自分の食器は自分で洗う、が何となく続いている。


本当は、洗う、拭く、だけでも分担すると、もっと効率が上がるのかもしれない。


でもまあ、一連の流れが悪くない感じで作れているので、多少効率が落ちても良しとする。


夜に何か一つ果物を食べるのは、彼女の習慣。


ビタミンを気にして始めたらしい。


俺も気に入って、夜はどちらかが果物を用意する。


りんごはやっとシーズンが来たばかりで、いそいそと買い込んだ、今年初のりんごだ。


蜜がたっぷり入っているといいな、と夢想しつつ。


使った食器を全部棚に仕舞って、ふと彼女の手を覗く。


うん?

……えーと。


「うさぎ?」


慣れた手つきでうさぎが量産されていた。
< 4 / 12 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop