武士になりたい!
土方副長の部屋にて


緊急に、幹部が集められた


沖田と斎藤が、巡察と先ほどの報告

「山崎監察より、報告のあった間者疑いの隊士が、沖田に斬りかかったところを
山崎監察が押さえてくれました」

「山崎」

「はい」

「言い訳があるなら聞くけど?」

「……いえ、申し訳ありませんでした」

「山崎のおかげで、二人が助かった訳だろ? で? なんで、謝るの?」


ワイは、副長の命令に背いた


監察として、表に出てはならない
情報収集が仕事
それ故、外だけでなく
組内の事も熟知している


そのワイの存在が、あの場にいた者に
知られたのだ


副長に怒られることも覚悟の上だった


生きていれば… やけど…



「山崎君らしいね…
ありがとう!二人を助けてくれて!」


山南副長は、土方副長の気持ちも
ワイの気持ちも知っている


その上で、言ってくれた



「どうだろう?罰として、一週間
朝餉を共にするというのは?」

「いい考えだな
山崎!!いいな?」

「はい」

「山崎君!歳の命令に背いたことは
関心せん
二人の命と同じく、君の命も
大切なんだよ?」

「はい…ありがとうございます」










あまりにも、ワイが落ち込んでいるからやろな…


「山崎!!こっち!!」

「山崎こちらへ」


なんやの? この人ら?

朝っぱらから、うるさいわ!


元気づけようと、してくれてんの見え見えすぎて


どうしたらええねん……





ってな、うるさいこと一週間




こんな朝餉 嫌や…



思ってたのに、いざ翌日から一人になると


案外さみしいもんや







ホンマ、ちゃんとわかってんねん

日頃から、皆と仲良おしとったら

危ない言うて叫ぶなり

他に方法があったんや


わざわざ、自ら姿をさらけ出して

命かけて楯にならんかて


守れたんやって





せやから、山南副長は話す機会をくれた




それやのに、ワイは

後ろめたいねん

女やていうことが



女のクセに、武士やなんて


笑われることが…




怖いんや…







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