武士になりたい!
「総ちゃん…
約束してくれへん?」


僕は、烝の隣に腰掛け涙を拭う


「ワイより先に死なんといて?」


拭いても拭いても流れてくる


「約束します!
僕は、烝より長生きします!」

「約束やで?」

「烝の最期には、僕が手を握って
見送るからね!」

「うん!絶対やで!」




烝は、静かに涙を流し続けた


わんわん泣いてしまえばいいのに

苦しそうに つらそうに


こらえながら泣いた



やっと泣き止んだ烝に口づけをして


「烝…好き」


ちゃんと言いたかったから

言ったのに


また、ポロポロ泣かせてしまった




「…ごめん」




烝は、すごく小さな声でそう言った



「長生きしようね…烝」




泣き止むまで、ぎゅっと抱きしめた


烝は、痩せた

忙しかったもんね



ちゃんと食べてるのかな?










屯所では接点のない僕ら


だけど、様子が気になり

烝の部屋がある

人気のない廊下まで行くと


「ヴエッ」



「大丈夫!?水汲んでくる!」



烝は、裏庭で吐いていた

吐物に食べ物なんてなくて

予想が的中した



烝がいた場所に、湯呑みの水をこぼさないよう走ったけど

すでに、烝はいなかった





部屋の方に声を掛けても返事はなく


屯所から出たのかな?




湯呑みを持って歩いていたら


「どうした?それ、俺の湯呑みだけど?」

「ん? ああ 土方さんに水をと思いまして!どうぞ!」


うっかり土方さんの湯呑みに水を入れてしまっててよかった


僕は、自室に逃げ込んだ



烝… 大丈夫かな…









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