一途な外科医と溺愛懐妊~甘い夜に愛の証を刻まれました~

「ねえ、三上さん」

 お弁当の包みを開けようとしている彼女に私は声を掛けた。

「なんですか? 天野さん」

「ちょっと、顔貸してくれない?」

 彼女の視線が泳いだ。隆を探しているんだろうか。残念だけど、隆は外回りにいっていて、夕方まで帰っては来ない。

「行かないとダメですか?」

「人の彼氏奪っておいて、拒否するとかないよね。それ、持って一緒に来て。食べながらでいいから話し聞いてくれない?」

 下手に出たら負けだと、精一杯すごんでみる。するとまどかはランチバックを手に立ち上がった。

その瞬間に彼女の巻いた髪の毛が可愛らしく揺れた。私よりも身長が十センチも低くて、華奢で、お人形みたいな容姿。指先には、はやりのネイルアートが施してあって、着ている服はハイブランドの物。そして今日も彼女の靴はフェラガモだ。

対して私は百六十五センチの中肉中背で、顔は普通。髪は手入れのしやすい方までのボブスタイル。服装には気を使うけれど、それほどお金はかけていない。

もし私が男で、私とまどかのどちらかを選べと言われたら、間違いなくまどかを選ぶだろう。しかし、私にだっていいところはある――はずだ。でも今は思い浮かばない。それくらいには自信喪失していた。

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