一途な外科医と溺愛懐妊~甘い夜に愛の証を刻まれました~

「……は~」

 天井をみつめて、私はまたため息を吐く。

「世の中、上手くいかないいことの方が多い気がする」

 最近特にそう思う。私は何も悪いことをしていないのに、嫌なことばかりが起こるのはどうしてなんだろう。
決して人のせいにするつもりはないけれど、自分ではどうにもできないことが原因で今に至る気がする。私は今、不幸のどん底だ。

「……つらい」

 昨日飲み過ぎたこともあり、まだ二日酔いの気怠さが残っている。
游さんが帰宅するまでに買い物に行くとして、もう少しだけ眠ろう。

大きな通りから一本路地に入っているからか、外はとても静かだ。時々隣家から生活音が漏れ聞こえては来るけれど、それはあまり気にならない。私はあくびをひとつして、ゆっくりと目を閉じた。

< 45 / 192 >

この作品をシェア

pagetop