一途な外科医と溺愛懐妊~甘い夜に愛の証を刻まれました~
「そっかー、大変だね。そんな由衣子ちゃんにプレゼント」
游さんは四角い包みを私に差し出した。
「プレゼント、ですか?」
「そう。もう行きませんって泣いてたらどうしようかと思ったけど、そうじゃないみたいでよかった。あけてごらん」
私はリボンをほどいて包装紙を広げた。出てきた箱を開けると、皮のパスケースが入っている。
「これ、定期入れ」
「うん、使って」
うれしい。でも、このブランドは小物でも高価なはず。つい、游さんのお財布事情を心配してしまう。
「もしかして、気に入らない?」
「いえ、そんなことはないですけど……」
「けど?」
「こんな高価なもの頂いちゃっていいのかなって……私になんて、お金使わないで下さい」
「いいんだよ。僕がしたいからしてるんだ。由衣子ちゃんって、いつも遠慮するよね。そういうのすごく新鮮で好きだな」
最後の単語に鼓動が跳ねたのは言うまでもない。
游さんは私のことを好きだと言ったわけではないのに、頬まで真っ赤に染まる。
「ありがとうございます。お礼、なにがいいですか?」
「お礼? いいよ、いらない。ご飯作ってもらってるし、それでチャラでいいよ」
「そんなわけにはいきません! ご飯はここに住まわせてもらっている分ですし」
「じゃあ、由衣子ちゃんが欲しい」
游さんの口からそんな言葉が出るなんて思わなかった。私のことなんて、女としてみていてくれていないんだって思っていたから。
游さんに手を出してもらえないことが辛いと思うということは、彼を好きだということだ気付いたのは、つい昨日の出来事だったけれど。
「……冗談。だからそんな顔しないでよ」
小さく笑う游さんに私はそっと手を伸ばす。ピクンと彼の体が震えた。