飛んでけチョコレート


「ふぇ!どうひたの!?」

口の中をいっぱいにして、急に泣き出した私を心配している。

『なんか嬉しくて。さっまで、ムカつく!とか昨日の夜のチョコレート作った時間返せー!とか思ってたけど、あなたがこんなに美味しそうに食べてくれたから。作ってよかったなって。…うわっ!』

しみじみ話していると、急に横から抱きつかれた。ついでにあずきも私をペロペロと舐めだした。

『ちょっと!ビショビショのまま抱きつくなー!』

びしょ濡れの彼の服の水分がじわじわと
私の服に染みてくる。
しかし、彼は気にしていないご様子。

「悲しいことがあったんだ。
こんな美味しいチョコレートを食べ損ねたなんて、本物にそいつはバカだね!
で、俺は超ラッキー!」

ニコニコとそう言って、私を下から覗いてくる。…犬だ、これは完全に犬だ。
私の体に犬が2匹まとわりついている。

『…お手。』

と、手を差し出してみた。

「ワン!…って、犬じゃない!」

やってくれるんだ。
本当に面白いなこの人。

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