飛んでけチョコレート
「こいつ、あずき!」
まだ小さな柴犬だ。
ご主人様のお帰りが相当嬉しいのか、大はしゃぎだ。
「散歩してたらさ、君が見えて。手にチョコレート持って思いつめた感じだったから、投げるんだろうなきっとーと思って。気付いたら走り出してたよね(笑)」
平地に腰を下ろし、お前は食べれないぞ!とかあずきに言いながらチョコレートの包み紙を開けている。
「おぉ!手作りじゃん!美味しそう!」
彼はキラキラした目でチョコレートを見ている。
「今年は義理チョコも貰えなかったからさー。よかったー♪」
なんか語尾に音符ついてるし。
こんな物で喜んでいただけて何より。
「それではいただきます。」
丁寧にペコッと頭を下げた。
パクッ
「……美味ーい!ドライフルーツ入ってるー!」
ニコニコしながら美味しそうに食べてくれてる。
なんか、涙出てきた。