運命の恋、なんて。
みんな、歌う時は立って歌ってるから、あたしも立ち上がった。



ふう…これでやっと密着回避。



あたしが選んだのは、盛り上がる曲。



バラードをしっとりとか、この場にそぐわない。



それにそれだけの歌唱力もないしね。



ひととおり盛り上がったあと、黒田先輩が八雲くんを指名した。



「八雲~、歌えよ」



黒田先輩から、 リクエストがかかる。



「俺、自己紹介とかまだだし」



「遅れて来たくせに、よく言う」



「それはっ、あたしのせいで。あたしが…」



あ。



みんなが、こっちに注目している。



ガム踏んだことを、ここでバラすか。



もう、今なら笑いのネタになる?



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