運命の恋、なんて。
横座りしながらしがみつくって、どうやるの?




「これつけよーっと」




八雲くんが、自転車の後ろのタイヤの軸のところに金属の小さな棒を取り付けている。




ハブステップ?




「これ乗って。こっちのが自転車安定すっから」




これに…乗る?




だっ、大丈夫かな…。




たまに乗ってる友達いるけど、なんだか怖そう。




サドルに八雲くんが座ったあとに思い切ってステップに乗ると、目線が高くなって結構な爽快感がある。




いい…かも!




「楽しい」




「ならよかった」




肩を持っていると、八雲くんが振り向く。




「しがみつけって。振り落とすぞ」




「ええっ」




そんな言い方されると思ってなくて、焦ってしがみつく。




「へへ~、いいなこういうの」




仕組まれた!?




けど、嬉しそうだから許しちゃおう。




あたしも…顔を合わせてないからか、自然とギュっとすることができた。




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