運命の恋、なんて。
「大丈夫じゃないよ。八雲くん、あたしのことなにか言ってなかった?」




「遅くなったら親に心配かけるから、早く帰るように言ってって」




「そうじゃないの。最近…あたしのこと、もう信じられないとかどうでもよくなったとか…言ってない?」




「そーいうのは聞いてねーけど…あいつ前から友達多いし、色々予定も入ってるから忙しいんだって。気にすんな」




簡単に言うよね。




全く親身になってくれそうにない。




当たり前か…最近よく話すようになったと言っても。所詮、八雲くんの友達だもんね。




もし知っていても…ホントのことなんて、言うわけない。




「わかった。八雲くんに、今日は連絡いらないって言っておいて。ヤスくん、ここまで来てくれてありがとう。またね…」




今日会話したら…泣いてしまいそう。




それとも、詰め寄るか。




ただの誤解だとしたら、全てあたしの妄想だ。




だから…少し頭を冷やしたい。




あたしは自転車に飛び乗り、家へまでの道のりを急いだ。




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