運命の恋、なんて。
「前も言ったけど…嫌いになった、わけじゃないから。今も好きは好きだし…」




ホントもうどうしようもない。




そういうことを、きっと相手にも言ってるんだよね?




誘うようなことを敢えて言っている。




人が…自分から離れて行くことを、一番恐れているのは…この人かもしれない。




かつて、八雲くんのお母さんがそうだったように…。




今まであったものが、突然消えてしまう。




きっとその状況に耐えられないんだと思う。




もしそうだとしたら、あたしにできることは…これぐらいしかない。




「別れても、友達でいようね」




「ああ…」




あたしたちは泣き顔のまま、少し笑って…恋人としての最後の時を迎えた。




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