運命の恋、なんて。
新しい第一歩
わ~っ、遅刻だ、遅刻!!




急いで上下黒のスーツを着て、ヒールの靴をはいて玄関を飛び出そうとすると、後ろからお母さんが追いかけてきた。




「胡桃~!忘れ物!テーブルの上に定期置きっぱなしだったわよ!社会人になっても、ほんといつまでたっても子供なんだから…」




「お母さん、ありがと!助かった~。これ忘れたら電車乗れないよ」




「乗れない?それはないでしょ。お金払えば乗れるから」




「はいはい、わかってますって。行ってきまーす」




八雲くんと別れて、数年が経った今も…お母さんの発言は、相変わらずだ。




だけど今ではうまくかわせるようになった。




いちいち真剣に捉えて、怒っていたあの頃が懐かしい…。




思えば、あたしが反抗期だったのもあるし、こういう人はこういうものだ…って、受け入れられない部分もあったのかもしれない。




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