運命の恋、なんて。
結局ノンちゃんも、高校を卒業して遠距離になったこともあって…碓井くんと別れたんだっけ。




あれだけ碓井くんについて行きたいって言ってたけど、最後は親をも説得して、自分の夢を貫いた。




地元から通える服飾デザインの専門学校に通って、子供服のメーカーに就職。




パタンナーを経て、今や 人気ブランドのデザインを手掛けるまでになっている。




自分ではまだ先輩のパシリだって言ってるけど、社員としてバリバリ働いてるし本当にすごいなぁって思う。




あたしはといえば…。




八雲くんと別れたストレスで、しばらくメンタルがやられていたけど…あるとき、先生からいい話をもらった。




大学の推薦を受けないかって言われて、全く考えていない分野だったけど…これも今までの成果だと勝手に納得した。




ただ、がむしゃらに勉強してきた。




自分がどこに向かっているのか、よくわかっていなかったけど…こればっかりは、お母さんに感謝した。




全体的な成績が良かったからもらえた話で、もしそうでなければなかったことだから。




大学も家から通える範囲で、学部も…調べていくうちに、興味がわいてきた。




ノンちゃんからは、失恋を早く癒すために、男の子を紹介するって何度も言われたけど、そういうのは違うって思ってたから。




合コンの話は全部断って、その分勉強に打ち込んだんだ。




結局、筆記試験はなく、内申点と面接だけで無事クリア。




受検戦争を通ることなく、みんなよりかなり早く進路を決定することができた。




その余裕もあって、免許をとりに行ったりバイトもすることができた。




これまで勉強づけだったあたしにとって、その経験はすごく大きなものになったと思う。




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