運命の恋、なんて。
「ありがと。また…そういう男の子が現れたら、連れて来るね」




「さっきの子がそうなんでしょ?」




「違うよ」




「ホントにそうなの~?それにしても…最近、仕事の方はどうなの?大きな会社に入ってるって行っても、契約だとやっぱり不安定だし…ちゃんと就職した方が良くないかしら」




「いいんだってば、好きでやってることだから。出張が多い方が、あたしも気晴らしできる」




「そうなの?知り合いのお子さんなんだけど、大学を出たあと小さな会社だけど社員としてコツコツ頑張ってね、今や20代にして課長ですって。やっぱり継続は力なりよね。胡桃も、もう1度就職活動すればいいのに」





うわ~、また始まったよ…。




高校生のとき、あれだけ英語だって騒いでたくせに。




行きたい学部の話をしても、就職先がないって猛反対された。




今は社員として働いていないあたしを、認めてくれない。




きっと、一生言われ続けるんだろうな…。




ま、これがあたしの起爆剤になってる。




契約だとしても、やりがいのある仕事に就きたい。




好きな仕事じゃないと続かないって前にお兄ちゃんが言ってたけど、あたしはそういうタイプみたい。




お母さんに言われるがまま英語の勉強をして、華やかな世界に入ったとしても…きっと今頃辞めてるよね。




どんなに大変でも、やりがいって必要かもしれない。




好きな世界で生きていく、そのことを教えてくれたのは…紛れもなく八雲くん。




ずっとうしろ向きにとらえてたけど…あたしの人生にとって、八雲くんの存在はなくてならないものだったのかも。




推薦の話があったとき、あたしも八雲くんのことで落ち込んでる時期だったから、お母さんも強く反対はしなかったんだよね。



それはそれで、あのタイミングでフられのはラッキーだったのか…。




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