スキorキライ
冷めない熱
~美咲side~

健二君に頭を撫でられた。

誰かに頭を撫でられたのって、久しぶり。

あれ?私喜んでる?

そう思うと、なんだか顔が熱くなってきて思わず下を向く。

何か勘違いしたのか、先ほど慌てて謝っていた健二君は「大丈夫?」と声をかけてきた。

それにもまともに返事できないくらい、私の頭は大パニックを起こしていた。

二人とも黙ってしまい、微妙な沈黙が続いた。

何も言い出せない私を見かねてか、健二君が口を開いた。

「じゃ、今日はもう遅いし、帰ろっか」

「う、うん」


***


「へえ、美咲ちゃんってあの小説好きだったんだ!」

今、健二君と下校している。

いつも一人で帰る道を誰かと歩くと、なんだか変な気持ちになった。

それ以上にまだ撫でられた時の頬の熱が冷めない。

一体どうしたものか。

「あ、私の家この辺だから!送ってくれてありがとう」

「うん。じゃあまた明日!」

健二君と別れ、自宅に帰ってもまだ頬の熱は冷めてくれない。

どうしちゃったんだろう、私。

きっと、慣れないことだったから混乱しているのだろう。

そう自分に言い聞かせ、私は自室に入った。





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