同期がオトコに変わるとき
「じゃあ、始めるぞ」
「はい」
そこかしこに置かれた段ボールを開封して中身を確かめ、真辺の指示を受けながら片付けていく。
私は食器や本などの小物類を、真辺は衣類関係を担当して、ふたりして片付けていくとお昼にはすべてのものが所定の位置に納まった。
お腹が空腹を訴えたときに真辺が頼んだ出前のお蕎麦がきて、ふたりでテーブルを囲んだ。
「思ったよりも早く終わってよかったね」
「そうだな。ありがとな、助かった」
「うん、どういたしまして。じゃあ私の役目は終わったし、もう帰るよ」
「ああ送っていく」
マンションから出て車に乗り込む。
軽快なポップスをBGMにして走り出した車は、何故かETCのゲートを潜ってスピードを増し、乗用車やトラックをどんどん追い越していく。
道路上の看板には隣県まであと数キロと表示されていて・・・どこに行くんですか。
「あの、真辺君?ちょっといいですか?私のアパートからどんどん遠ざかっている気がするのですが」
「当然だ。寄り道してるんだからな」
「寄り道?」
これが?
高速に乗ってする寄り道なんて生まれてこの方聞いたことがない。
高速運転中の真辺は真剣な顔をしていて、声をかけづらい。
それになんだか下手に逆らってはいけない気がする。
機嫌を損ねたら、サービスエリアでおいてきぼりにされそうだ。
なんといっても鬼畜なのだから・・・。
やがて車は高速を降り、大自然の中にある『わくわくふぁーむ』というファミリー牧場に着いた。