死にたがり姫と王子様。

思わず、息を忘れた






お姫様が、どうしてここに?






「美しいだろう?
 でもま、この子もかわいそうな子だよ
 死んでも尚、疎まれるのだからね

 毎日毎日、薬を飲んで死ぬ努力をしていたことを、みんなもわかってはいるんだがね

 それでも、怖かったってのが本音なんだ

 生まれながらにして、呪われた子

 魔物さえ宿していなかったら、健気でいい子で…
きっと、みんなから好かれていたはずさ」








女性も覗き込み、言った







お姫様は、呪われたお姫様だった







そっけない態度も、結婚を断ったのも、この結末がわかっていたからだったのか









震える両手で、彼女の頬に触れる








その肌は、一切の熱も宿してはおらず








僕は、どうしようもない感情を抑えきれず、泣いた。









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