ハウトゥ・シナプス




「お前は憶えてねえかもしれねーけど俺は憶えてんだよ。お前が考えそうなことだって分かってんだよ。……信じるも何もねえだろ」



苦い顔を、している。

そうか、高1から付き合ってこれで3年目だったんだもんな。
こんなめちゃくちゃな理由で別れを切り出すような私と、3年も付き合ってたんだもん。


……3年も、付き合っていたのか。



「全部、なくなっちゃったんですけどね、……3年間の、思い出」



積み上げてきたものとか、そういうもの全部。


3年間、短かった。

入学式とか行事とか、もちろん自分の学校の校舎の造りとか、全部憶えてるのに。

どうやって他校のこの人に出会ったのか、どうやって付き合ったのか、今まで何してきたのか、全部全部、忘れてしまった。



「……失くしたんじゃねえだろ」



地べたに胡座をかいた体制になった彼が、そう言って私を見上げる。


「しまったんだろ」


まっすぐ目を見て言葉を紡ぐ。



「大事だから、いちばん忘れたくねえから。衝撃受けた時にいちばん奥底に隠したんだろ」


「………………」



ああ、なんだ彼は。すごい自信だ。

思わず納得しそうになってしまったじゃないか。



< 19 / 26 >

この作品をシェア

pagetop