真っ白のラブレター

月子は気づかれないようにため息をついた。
計画はなかなかうまくいかない。

月子は歩にも、「穂風が気にして見ている」とさっき告げに行った。

相変わらず無表情な歩だったが、一瞬、目が大きく見開いたのを月子は見逃さなかった。


実際、二人は月子の作戦とも知らずに、「相手が自分のことを見ている」という錯覚を起こし始めていたのである。

それを確かめるために、ますます相手を気にすることになり、その結果、二人はすっかり月子の言ったことを信じ込んでしまった。

廊下ですれ違っても、何となく、ぎこちなく視線をそらせる二人は、あきらかにお互いに意識していた。

これまでの幼なじみの信頼関係や友情が、少しずつ変わり始めていた。

< 77 / 108 >

この作品をシェア

pagetop