姉弟ごっこ
するとあからさまに哲史は、たじたじしだした。

「そ、それはだな」

目線を泳がせたり、挙動不審に腰を浮かせたりしながら手を揉んでいる。

下手か、平静を装うの下手か!
すっとぼけるな証拠はあがってんだ!と詰問する刑事ばりに、威勢よく構えたつもりだったんだけど。

「ねぇちゃんの作ったメシが食えて、嬉しかったから。その、二人きりだし。かなり浮かれてんのバレないように気張ってたらああなったの!」

はぁ?
緊張していた体の筋肉が、ひとたび解れる。

「ま、途中で怪しい感じがしたから腹壊さないように味付けは手を出したがな!」
「し、失礼な!」
「でも、」

そこで真っ直ぐに、哲史は私の視線を捕らえた。

「俺的には、俺らがこうなるのは必然だと思うんだけど」

部屋の空気が静かになった。
耳を澄ませたら、お互いの鼓動まで聞こえちゃうんじゃないかってくらい。

「俺は、ずっとねぇちゃんのことが好きだ」

腫れぼったい私の目に映るのは、いつになく真剣な顔を崩さない哲史で。
見慣れたはずの年下の、わがままで甘ったれな幼馴染みの面影を宿した哲史なんだけど、どこか違う。

違うんだ。

「ねぇちゃん、」

気迫のこもった眼力に、私は声が出せなかった。

「だから俺のこと、弟じゃなくて一人の男として見てくれないか」
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