姉弟ごっこ
「けど次は、たぶん我慢できないから」覚悟しといてね!と付け足した哲史の表情は満面の笑みだった。
「っ!」覚悟!?

そうなったら私の心臓は一体どうなっちゃうんだろう。顔は大火事でまず間違いない。
尋常じゃないくらい緊張してたからスルーされたけど、さっきだって欲情がなんやかんやって結構な強度の変態発言してましたよ?

これからもしも、一週間という期限がなくなったとしたら、身が持たないんじゃ……。

「ねぇちゃん、なに百面相してんの?」
「百面相?」
「ほら、ドラマ観ようよ!録画しといたからさ」

リモコンを操作しながら、哲史はベンチの背もたれに深く背中を預けた。
そして、私の肩を引き寄せて。

「やっと、手に入った」
「へ?」

なにかを囁いたのだが、テレビの音量が高すぎてよく聞こえなかった。

「なんでもない。ビール飲みたいだろ?俺、持って来るよ」

ベンチから立ち上がった哲史が、冷蔵庫にビールを取りに行く。
私はというと、ドラマを眺めながら右手の薬指から指輪を外した。最初からサイズが合わなかったそれは造作なく外れ、すっきりと軽くなった。

大きな片手に350mlを2缶と、もう一方の手にあたりめを持って戻ってきたら、さっきなんて言ったのか哲史に聞いてみようと思った。


END
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