悪魔な彼が愛を囁くとき

「……婚約指輪をつけて仕事にならないよ」

ダイヤモンドのついた指輪

傷をつけたり、ひっかけたりするかもしれない。

「あぁん…指輪をつけるのが嫌なのか?」

不機嫌Maxの男の形相は、地の底から這い出てきた悪魔のように恐ろしく重低音が響きわたる。

「…………いやじゃなくて……仁が私の為に選んでくれた大事な指輪を傷つけたくないの。それに仕事中、どこかにひっかけたりしてお客さんに迷惑かけたら大変でしょう」

恐ろしくて一気に捲し立てて気持ちをぶつけた。

そうしたら…

「……そんなことか。そうだな…仕方ない。お前がそう言うなら」

諦めてくれたと思っていたのに、いざ営業を始めようとしていたら、とんでもない事をしでかしたのだ。

グランドメニューとは別にお店の壁に貼り付けてある黒板のお勧めメニューを消し、男は何かを書き出した。

大きなハートの中に
〔Happiness wedding仁&凛〕

どうか、幸せな2人に祝福の言葉を…

来店するお客さんは黒板にくぎ付け

そして、あちらこちらでおめでとうの祝福の声がかかり、仕事がしにくい…

『いい方法だったろう⁈』

と悪魔な笑みを浮かべた。
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