悪魔な彼が愛を囁くとき
目が合いニヤッと笑う店長の笑顔と労いの言葉に頬を染めた私を、一瞬だけ、佐和さんが睨んでいたように見えた。
なに?
気のせい?
今は、綾乃さんと佐和さんが私の脇を人差し指で突っついてからかってきている。
「よし、今日もよろしくお願いします」
店長のかけ声に
「はーい、よろしくお願いします」
一斉にスタッフの声が揃い、持ち場についていく。
オープンの看板を出してすぐに、数組のお客さんが入ってきてひと息つく暇もなくスタッフはそれぞれの対応に追われていた。
私は、両手が塞がった状態で料理を運ぶ為にホールへ……、途中、佐和さんと接触しそうになり避けたつもりだった…
なのに…
ガチャン…
お皿が割れる音がホール中に響く。
「……申し訳ありません。失礼しました」
恐ろしい顔をした店長が、大股でやってきて周りのお客さんに謝っている。
私は、か細い声で『申し訳ありません』
とつぶやきながら、床に散らばったお皿の破片とぐしゃぐしゃになってしまったオムライスを片付けた。
「大丈夫?」
佐和さんが、ほうきとちりとりを持って手伝ってくれる。
「…すみません」
「凛に片付けさせろ」