最果てでもお約束。
戦争小説になったですか?。
「うう・・・ん・・・・」
戦場にいるとは信じられない静かな昼時。狭い我が家の真ん中にはアキラを寝かせた布団一式。アキラはまだ目を覚まさない。
佐野君が駆け出す瞬間までは意識があったと思うのだけれど、どうやら最後の大爆発が止めになってしまったらしい。
完全に気絶してしまったアキラを担いだまま、倒れていたバイクを引き起こして帰宅。
書けば一行の出来事なのだけれど、もうほんとマジ勘弁。二度とやりたくない。
「んんぐ・・・・」
アキラが寝返りをうって額に乗せていたタオルがズレ落ちる。
別に熱がある訳では無いのだけれど、なんとなく冷たいほうが良い様な気がして乗せていた。
ズレ落ちたタオルを布団の脇に置いた洗面器に浸けて余分な水分を絞る。
こうしていると、ゆうの看病をしていた時の事を思い出した。
ゆうも指を折った時、その影響か左目の視力を失った為か、高熱を出した。
それを家族の人に無理を言って看病させてもらった事がある。
そういえば、あいつも寝相が悪くてよくタオルを落としてたっけ。
苦笑が漏れる。
「う・・・・ふえい・・・・」
お、目が覚めたか?
暇潰しと教養も兼ねて読んでいた細雪をソファベッドに置き、アキラの額に乗ったタオルを取ってやる。
「んん・・・こう・・・・・・・・」
「アキラ、大丈夫か?水飲むか?」
しかしアキラは目を覚まさない。瞼の下では眼球が動いているのがわかる。
夢でも見ているのだろうか?
ぼくは仕方なくまたタオルを絞り、アキラの額に乗せて細雪を手に取った。
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