最果てでもお約束。

4地合同自治国

「でも独立って言っても行き来は自由だし貿易って名の流通もあるし日本円はそのまま使えるし軍隊は持たないしで、あんまり変わりが無いからすぐに話題も下火になったんじゃ?」
さすがにこのビッグニュースはそこそこ知ってるようで助かる。
でも、地元の人間しか知らない事があるんだよなー。
「うん、その通り。でもね、全然公になってないから知らないだろうけどさ、4国って凄い軍事国家なのでした」
「へ?軍隊あんの?」
そこがお子様にはわかりにくい所なのだよふふふふ(大人の余裕)
「確かに4国には軍隊は無い。それはあくまで”国としての正規軍が無い”ってだけ。実際には軍艦も浮かべてるし軍人さんもいるしでものものしいよ」
「っへー!それでそれで?」
お、さっそく話しを聞くモードになったか。助かるなぁ。
「確かに4国からこっちには何の干渉も無い。日本も暗黙の了解みたいに放置している。でもね、この町の人は4国を・・・そして日本を恨んでいるんだよ」
「・・・・・・・もしかして独立宣言の後に交戦したってのが・・・」
だまって頷く。
10年前のあの日、元々は四国だったものが独立宣言をした。
確か天才だか科学者だかちょっとアレな人だかが開発した新兵器と新エネルギーを柱に、勝手に日本から離反したのだ。
四国は4地合同自治国・・・通称4国と名前を変え、日本にまず対話を求めた。
しかし日本はとりあえずの対話を放棄。諸外国には”国内暴動”として宣言。付け入る隙を与えなかった。
4国は再三に渡って日本に対話を求めた。しかし日本側はこれを真っ向無視。
ついには”暴動鎮圧”の名の下、自衛隊の出動となった。
自衛隊は威嚇と偵察の為、実弾装備の戦闘機5機を4国に派遣。今となっては理由も定かにならないが、なんと海上からではなく、人家のある土地の上空を5機編成で向かっていた。
そしてあの悲劇。
5機編成で4国に向かっていた戦闘機達は一筋の光によって瞬く間に全て叩き落された。
・・・・実弾装備の戦闘機が5機、海と山に挟まれた猫の額のような10年前の、この町に。
「・・・・」
所々省略し、できるだけ簡単に説明してみた。本当はもっともっと複雑で、高度な政治の話になるのだろうけれど、あまり頭の良くなかった自分にはこれくらいの認識しかない。
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