最果てでもお約束。
では、始まり始まり。
初めて「世界の果て」を見たのはいつだったろうか。
きっと遠い昔、まだ小学生だった頃だと思う。
自分の苗字は少し変わっている。そのせいだろう、クラスメイトから
「日本人じゃ無いみたいだな」
と、何気なく子供の無邪気さで言われた。
まったく、これっぽっちも気にしていなかったその日の夜。
マンションの5階に住んでいた僕の目に写る世界は今までの何物でもなく写っていたように思う。
漫画のように、荒廃した世界でもなく。
小説のように、美しい世界でもなく。
いつもの風景なのに、どことなくうら寂しい。色が無くなってもないのに、「あぁ、あれはあんな色だったんだ」と変に感心したのを覚えている。
きっと、あの瞬間だけ、その瞬間だけ、「世界の果て」から足を踏み出してしまっていたのだろうと今になって思う。
どこにでもある「世界の果て」
でも、大人達が考え、勝手にネーミングした「世界系」とはまったく違う。
これはきっと僕だけの「世界の果て」
長い長い前振りは、これでお終い。
「世界の果て」が見たくなくて頑張って、結局見てしまう男の子のお話。
< 3 / 140 >

この作品をシェア

pagetop