最果てでもお約束。
序の口序の口宵の口。
「んで、次はどこに行くのでしょうか?」
「あー・・・どこ行こうかなぁ・・・」
よくもまぁ考えるとぼくも暇な人間です。
素性も知れない旅の人と、せっかくの休みを潰して散歩三昧。
名前くらいしか聞いてないし。つーかアキラは年齢とか聞いておかないとヤバイ感じなのだろうか?ほら、補導とか。
「アキラ、ちなみに聞いておくけど年齢は?」
「う?」
なだらかな下り坂を見下ろしながらアキラが振り返る。
「いや、若いと補導とか食らって面倒だからさ。もしそんな年齢ならちょっと裏道行くし」
「あーあー、たぶん16くらいだと。自信アリマス」
すっげぇうそ臭いんですけど。
「それより若い可能性は?」
「んー・・・無い・・かな・・。14から旅をして新年を2回迎えましたから」
「うっわー・・それもう上級ヒッチハイカーじゃないか?」
いやーまだまだ、と照れたように顔の前で手を振るアキラ。
ちょっと待って。なんか忘れて無いかな。
あ、思い出した。
「親に連絡とかは?してるか?携帯なら貸すぞ」
ごそごそと忘れずに持ってきた携帯を取り出す。
「いやー、親死にまして」
「おぅ・・ソーリー」
この町じゃ案外珍しい事でも無いので、どうしてもちょっと軽くなっちゃう。
「じゃあばぁちゃんかじぃちゃん?」
もちろん保護者の話。
「いやーそっちも全滅」
「ふぅん」
この辺りからなんかヤバイ気がしてたんです。
「親戚たらい回しの罠?」
エアギターっぽくエアタライをぐるぐる回してみる。
こーゆー事はコミカルにやらかした方が良いと、経験で思っていた。
「ですよーもうぐるぐるっと」
だっはっは、と笑うアキラ。良かった、なんとか色々なヤバそうなスイッチを回避できた。と思った瞬間。
「なんちゃって。親戚とかゼロです。あれです、天涯孤独っつー案外マイナーな感じ」
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