最果てでもお約束。
ライスバーガーってなんなのさ?
「いらっしゃいませぇー」
もう何年通ってるかわからないくらい通い続けてきたフレッシュな野菜が売りのファーストフード店で昼食。正直ここのセットではまったく物足りないのだけれど、体系維持の為にもこのくらいで丁度いいかな?と。
「こんにちわ」
「ちわ~」
通い始めた頃はまだ制服の上にエプロンをしていた女の子が今や一児の母。もうすっかり顔馴染み。
「いつものでよろしいですか?」
「あ、はい」
チーズバーガーセットドリンクはブラックコーヒー。何も言わなくてもコーヒーに砂糖とクリームがついてきません。いやー常連特権だなぁ。案外断りにくくてそのまま捨てちゃって後味悪い思いした事無い?
「お連れの方は・・・?」
あ、忘れてた。
「静かだな・・・どうかした?」
「いやぁ・・・こんなファーストフード入った事なくってさぁ」
え、全国チェーンだけど。
「オシャレだなぁと・・・あ、なんでもいいですハイ」
借りてきた猫とはこういった感じなのだろうか?
「えーと、じゃあ同じで。ドリンクはオレンジ」
ちゃりちゃりんと小銭を渡していく。
「連れの人がいるのも、久しぶりですねぇ」
「あ、そか・・・こいつ親戚でね。遊びにきてるの。ありがとー」
注文した品の乗ったトレイを受け取りながら紹介しておく。
ちなみにこの店では店員から”携帯”で撮影される事は無い。昔にそれで揉めた事があったらしいから。
「旦那ぁ席くらいは決めさせてもらいますぜぇ」
「いや旦那でもないしその歳でぜぇは無いだろう・・」
つるつるとテーブルの間をすべるように奥に進むアキラ。
右手の人差し指で時折テーブルをなぞっては、また奥に。
おい、その奥は―
「ここにしよう。この一番奥から一個手前」
”ここ。この一番奥から一個手前。窓沿いは”
「窓沿いはマフィアに車道から撃たれるからねぇ」
”窓沿いはマフィアに表から撃たれるからな、はいはい”
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